第6次エネルギー基本計画をわかりやすく解説! / 太陽光発電のライフソーラー

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第6次エネルギー基本計画をわかりやすく解説!

2022.4.22


「エネルギー基本計画」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。
エネルギー基本計画とは、日本の長期的なエネルギー政策の取組みにおいて、最も基本的で重要な政策を示す政策文書になります。
今回は、その政策文書が昨年10月に閣議決定され「第6次エネルギー基本計画」として策定されましたので、その概要や変更ポイント、そして、重点施策をご紹介します。

■エネルギー基本計画
日本の長期的なエネルギー政策の取組みにおいて、最も基本的で重要な政策を示す政策文書ですが、どのような経緯や目標などが策定されたのでしょうか?

元々は2002年(平成14年)にエネルギー政策基本法が制定され、
 ・「安定供給の確保(Energy Security)」
 ・「環境への適合(Environment)」
 ・「経済効率性(Economic Efficiency)」
の3つの基本方針が示されました。

そして、エネルギー安全保障、環境保全、経済効率性の3つを同時にバランスよく追求し、その達成を目ざすことが、エネルギー政策の要諦(ようてい)であると位置づけられました。

この3つの目標の英語の頭文字が「E」であることから、「3E目標」ともいわれています。

また、2011年3月に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、安全性(Safety)がエネルギー政策の前提条件として位置づけられるようになり、その時から「3E+S目標」ともいわれるようになりました。

2003年に最初のエネルギー基本計画が策定されましたが、それ以降は、おおむね3~4年ごとに日本を取り巻く内外情勢の変化を踏まえてエネルギー基本計画は改定されてきました。

また、2018年7月には第5次エネルギー基本計画が閣議決定され、2030年のエネルギーミックス目標の達成が最重要課題として明記されました。

2020年(令和2年)10月には、当時の総理大臣菅義偉(すがよしひで)が、日本は2050年にカーボンニュートラルの実現を目指す方針を発表し、翌年の2021年4月には、2030年の温室効果ガス排出削減目標を従来の26%(2013年度比)から46%削減に引き上げる方針を発表しました。

そのため、46%削減を前提として第6次エネルギー基本計画の改定が行われることになり、2030年の3E目標について、温室効果ガス排出削減46%、エネルギー自給率30%のほか、電力コストの上昇の抑制を図るため、省エネルギーを抜本的に強化しつつ、同年の電源構成ですが、再生可能エネルギーを36~38%、原子力を20~22%、LNG(液化天然ガス)を20%、石炭を19%、水素・アンモニアを1%にする目標が掲げられました。

また、2050年にカーボンニュートラルを実現すべく、電力化を最大限推進し、電源をゼロ・エミッション化するため、再生可能エネルギーを主力電源化し、水素や炭素回収貯留(CCS)を活用し、さらには直接大気回収(DAC)などのネガティブ・エミッション技術も活用する方針も示されました。

■第6次エネルギー基本計画のポイント
第6次エネルギー基本計画は、菅政権を引き継いだ岸田文雄政権のもとで、2021年10月に閣議決定されましたが、今後のエネルギー政策の基となる「第6次エネルギー基本計画」はどのような内容になっているのでしょうか?

結論から申し上げますと、「第6次エネルギー基本計画」の大きなテーマは2つです。

まず、ひとつめは、世界的に取り組みが加速している気候変動問題への対応です。
2020年10月に表明された「2050年カーボンニュートラル」と、2021年4月に表明された「2030年度の温室効果ガス排出46%削減(2013年度比)、さらに50%削減の高みを目指す」という野心的な削減目標の実現に向けて、エネルギー政策の道筋を示したものとなっています。

続いて、ふたつめは、日本のエネルギー需給構造が抱える課題克服への対応です。
地球温暖化による気候変動対策を進めながらも「S+3E(安全性+エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合)」という基本方針を前提にした取り組みが示されています。

また、エネルギー基本計画は、上記の2つのテーマを軸に、以下の3点を示しています。
 ① 東京電力福島第一原子力発電所の事故後10年の歩み
 ② 2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応
 ③ 2050年を見据えた2030年に向けた政策対応

■2030年の電源構成のポイント
気候変動への対応とエネルギー需給構造に関する課題の克服という基本方針が掲げられた今回の「第6次エネルギー基本計画」では、2050年カーボンニュートラル、2030年の温室効果ガス46%削減目標の実現に向けて、どのような電源構成を示すかが焦点となっていました。

そのポイントは以下の通りです。
 ・再生可能エネルギー(再エネ):現行計画の「22%~24%」から「36%~38%」に引き上げ
 ・原子力:現行計画の「20%~22%」と同じ水準を維持
 ・火力発電:現行計画の56%から41%に大幅引き下げ
 ・水素・アンモニア:1%


つまり、CO2排出の削減のため、脱炭素電源でおよそ6割をまかない、再エネについては太陽光と風力で主力電源化を目指し、拡大を図る方針を示したのです。

■今後の再エネ導入見通しと重点施策
政府は現時点で具体化されつつあるエネルギー政策を確実かつ最大限に実施することで到達する再エネの導入水準として、3,126億kWhを提示しました。
また、「2030年の温室効果ガス46%削減」に向けた野心的目標として200~400億kWhの追加導入を見込み、合計約3,300~3,500億kWh(36-38%)の再エネ導入を目指すことを示しました。
それぞれの数値一覧とその導入を目指すにあたって重視している施策、具体的な取り組みは以下の通りです。


<重点施策>
 ・系統増強などを通じた風力の導入拡大
 ・地域共生型再エネ導入の推進
 ・民間企業による自家消費促進
 ・地熱・水力などにおける現行ミックスの達成に向けた施策強化

<具体的な取り組み>
 ・地域と共生する形での適地確保
   改正温対法に基づく再エネ促進区域の設定による太陽光・陸上風力の導入拡大、
   再エネ海域利用法に基づく洋上風力の案件形成加速など

 ・コスト低減・市場への統合
   FIT・FIP制度における入札制度の活用や中長期的な価格目標の設定、
   発電事業者が市場で自ら売電し市場連動のプレミアムを受け取るFIP制度により
   再エネの市場への統合を図る

 ・系統制約の克服
   連系線などの基幹系統をマスタープランにより「プッシュ型」で増強するとともに、
   ノンファーム型接続をローカル系統まで拡大。
   再エネが石炭火力などより優先的に基幹系統を利用できるように、
   系統利用ルールの見直しなどを行う

その他、事業規律の強化や規制の合理化、技術開発の推進により、再エネ主力電源化を加速させるとしています。

以上、今回は、「第6次エネルギー基本計画」の概要や変更ポイント、そして、重点施策のご紹介でしたが、2030年の電源構成のポイントにもあったように、「再生可能エネルギー」の活用が今後ますます求められそうです!

また、再エネのなかでも最も構成比の高い太陽光ですが、近年の流れから考慮すると、最もオススメしたいのは自家消費型太陽光発電の導入です。

ぜひ、皆様も最新のエネルギー基本計画と合致した自家消費型太陽光発電の導入をご検討ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。