P2Gについてわかりやすく解説 / 太陽光発電のライフソーラー

お役立ちコラム

P2Gについてわかりやすく解説

2022.6.15

日本は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを実現すると宣言しています。
その実現には再生エネルギーの普及、よりよい環境の整備や仕組みづくりが欠かせません。
こうした中で、P2Gが脱炭素のキーワードとして浮上し、山梨県やその他実証実験している各社のサイトやページの情報が検索されているようです。

今回は、話題のP2Gについて解説します。

 


P2Gとは?

P2Gとは「Power to Gas(パワーツーガス)」のことで、余剰電力を気体燃料に変換(気体変換)して貯蔵・利用する方法です。

近年、地球温暖化防止や化石燃料の高騰などの観点から、太陽光・風力・地熱など自然エネルギーを利用する再生可能エネルギーの普及・拡大が進んでいます。
しかし、再生可能エネルギーのうち太陽光発電や風力発電などは、気象条件によって発電量が大きく変動するため、発電量が電力需要を上回るときは余剰電力を貯蔵する必要があります。

従来の余剰電力貯蔵には、揚水式水力発電、蓄電池、フライホイールなどが利用されてきましたが、それぞれ、立地の制約、大容量化・コスト低減に課題、短時間供給に限定という欠点があるためパワーツーガスがこれらに代わる新たな貯蔵方法として期待されています。

 


P2Gの実証実験が開始

欧米など世界各地で再生可能エネルギーの余剰電力を使ったP2Gの研究が進み、事業化機運が高まる中、日本では、2021年9月1日、山梨県、東レ、東京電力ホールディングス、東京電力エナジーパートナー、日立造船、シーメンス・エナジー、加地テック、三浦工業、ニチコンがコンソーシアム「やまなし・ハイドロジェン・エネルギー・ソサエティ(H2-YES)」を構成し、大規模P2Gシステムによるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る事業が開始されました。

この事業は、グリーンイノベーション基金事業(再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト)における国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の採択を受けて実施されました。

期間は2021年度から2025年度までの5年間で、複数箇所で、モジュール化したP2Gシステムを16MW規模で導入し、大規模需要家におけるボイラー等による直接的な化石燃料の利用を水素エネルギーに転換する実証が計画されています。
なお、行政や各社の取り組みや狙いなどは次のとおりです。

山梨県
県内で技術開発が進められたP2Gシステムのグローバルな展開により、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル社会の実現に向け、国内の先頭に立って取り組んでいく。

東レ
同社が開発した「炭化水素系電解質膜」を実装した高効率大型水電解装置を実現し、グリーン水素サプライチェーンの構築を通じて、水素社会・カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

東京電力HD・東京電力EP
再生可能エネルギー由来の電力も利用できる”水の電気分解による水素の製造”から、”工場等で熱エネルギーや産業用ガスとして水素を利用する”までをサプライチェーンでサービス提供することと、電化の推進を通じてカーボンニュートラル社会の実現を目指す。

日立造船
再生可能エネルギーをグリーン水素へ転換する水電解装置の大型化・モジュール化の開発に取り組む。また、グリーン水素製造インフラの社会実装を目指すとともに、再生可能エネルギー電源の導入拡大、水素の燃料化サプライチェーン構築などのP2G製品・サービスの普及を通じて、脱炭素社会の実現に貢献していく。

シーメンス・エナジー
グリーン水素製造及び供給の実現に向けて取り組む

加地テック
水素圧縮装置で培ってきた技術に関する知見を活かし、P2Gシステムで製造するグリーン水素の価値を向上させるシステムの開発に取り組んでいく。

三浦工業
再生可能エネルギー由来のグリーン水素燃料を活用した高効率な蒸気ボイラーの開発を担うこと。また、熱需要の脱炭素化を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

ニチコン
水電解装置に最適な電力変換器の開発を進める。また、大型化・モジュール化・電力変換の高効率化等の課題に取り組み、価値ある電力変換システムの創出により、P2Gシステムのさらなる発展を目指す。

 


P2Gは今後どのようなことに活かされる?

P2G(Power to Gas)システムは、エネルギーを「貯めやすい」「運びやすい」といった特長を持ちますので、様々な利用シーンが想定されます。
例えば、『ハイブリッド水素電池システム』や『超電導フライホイール蓄電システム』などです。

ハイブリッド水素電池システムとは、これまでの電池システムとは異なる内部構造を持ち、連続充放電かつ急速充放電が可能な次世代の蓄電池システムで、短時間に大きな電力の出し入れが可能であり、耐久性が高い特長を有していることから、クレーンや大型の電気設備を使用する工場、MRI等の医療機器を使用する病院での活用が期待されます。

超電導フライホイール蓄電システムとは、電気エネルギーを、一時的にフライホイールの回転運動による物理的なエネルギーに変換し、保存(貯蔵)しておき、電気が必要な時に、回転運動から発電によって電気を取り出すシステムです。
その特長は、超伝導コイルが発生する強力な磁力により、真空容器の中で回転するフライホイールを浮上させて非接触化することにより、摩擦損失によるエネルギーの減少を抑制することであり、電力系統の安定化対策だけでなく、鉄道事業における回生エネルギーの利用や、大規模工場等の瞬間的に大きな電力を利用する場所への利用、電気自動車の急速充電器での利用など、多用途での活用も期待されています。

 


P2Gで注目を集める太陽光発電

最後にP2Gで太陽光発電が注目をあびている理由を説明します。

その理由はP2Gの気体変換方法にあります。現在、P2Gの気体変換方法には、2つの方法があります。

❶電力で水を電気分解して水素を取り出す方法

➋水の電気分解で得られた水素と二酸化炭素を触媒により化学反応させメタンを生成する方法

❶の水素は大量生産の主要な方法として、アルカリ電解質を用いた水の電気分解が採用されています。
電気分解では、水(2H2O)が水素(2H2)と酸素(O2)に分解され、この反応に必要な電子の移動を、太陽光発電や風力発電の余剰電力によって発生させます。

➋のメタン生成では、❶の水素(4H2)と二酸化炭素(CO2)が反応し、メタン(CH4)と水(2H2O)が発生します。
メタンは既存の天然ガスインフラを利用できるのが長所ですが、長期貯蔵が難しいこと、生成のための設備導入・製造コストの増加とガス変換効率の悪化をもたらすことが問題となります。
水素は重量当たりのエネルギーがメタンの2倍以上ありますが、原子量が小さく体積当たりのエネルギーはメタンの3分の1程度であり、貯蔵時の体積低減が課題になっています。

以上、P2Gの気体変換には、水を電気分解して水素を取り出す方法がメタン生成よりも利便性があり、その際に、太陽光発電などの余剰電力が利用可能です。

最後までお読みいただきありがとうございました。