ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは?簡単に解説 / 太陽光発電のライフソーラー

お役立ちコラム

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは?簡単に解説

2022.7.20


「ZEB」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。
なんとなくは知っているけど、内容までは詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか?
今回は「ZEB」について、わかりやすく解説します。

 


ZEBとは?

「ZEB」は「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)」の略称で「ゼブ」と読みます。
また、「ZEB(ゼブ:ネット・ゼロ・エネルギービル)」とは、「建物で使用する電気や熱などのエネルギー量を多く減らすために、高い断熱性能の壁や窓、電力消費の少ないLED照明などの省エネ機器を利用し、それでも減らせない分を太陽光発電などの再生可能エネルギー等を利用して賄おうという考えで設計・建設されたビル」のことを言います。

また、「ZEB」が用いられる言葉に、「ZEB Ready」「Nearly ZEB」「ZEB Oriented」といったものがあります。

「ZEB」は、「ZEB Ready」の条件を満たした上で、再生可能エネルギーでエネルギーを自ら作り出し、基準となるエネルギー消費量から100%以上減らしたビルです。

「ZEB Ready(ゼブ レディー)」とは、「Ready(準備)」が付いているとおり、「ZEB」の入り口に立った建物です。具体的には、国が定めた基準となるエネルギー消費量から、50%以上のエネルギー消費量を削減したビルを指します。太陽光発電などの再生可能エネルギーによって作り出すエネルギーは考慮しないため、超省エネビルというイメージです。

「Nearly ZEB(ニアリー ゼブ)」とは、「Nearly(ほぼ)」が付いているとおり、完全な「ZEB」へあと一歩の建物を指します。
「ZEB Ready」の条件を満たした上で、再生可能エネルギーでエネルギーを自ら作り出し、基準となるエネルギー消費量から75%以上100%未満のエネルギー消費量を減らしているビルになります。

「ZEB Oriented(ゼブ オリエンテッド)」とは、「ZEB」化が難しい大規模な建築物を対象としたもので、「Oriented(指向の)」とついているように、「ZEB」を指向しているビルのことです。
具体的には、延べ面積1万㎡以上の建物が対象で、「基準となるエネルギー消費量から、建物の用途ごとに設定されたエネルギー消費量を削減(例えば、事務所や学校、工場などで40%以上、ホテルや病院などで30%以上など)すること」「非住宅建築物の省エネルギー基準(建築物省エネルギー法で規定)への適合性を判定するために、国が定めたエネルギー消費性能計算プログラムで未評価の技術を導入したもの」を指します。


ZEB化するメリットとは

ZEB化することで得れる代表的なメリットは4つあります。

①経費削減
②BCP対策による事業継続性の向上
③快適性・生産性の向上
④企業価値・評価の向上

それぞれについて、補足解説しますと、

① 経費削減
遮熱シート、LED等の省エネ商材を導入し、エネルギーの消費量を抑えたり、太陽光発電で電気を自給自足したりすることで電気代を削減することができます。
事務所ビル・スーパーマーケット・病院など様々な施設で50%省エネルギーを実現した場合、室内環境の質を維持・向上しつつも、年間で40〜50%の光熱費を削減することができます。
※環境省 地球環境局発行「ビルは”ゼロ・エネルギー”の時代へ。」より

② BCP対策による事業継続性の向上
創エネ設備を導入することで、災害時であってもエネルギーを自給自足することができます。
また、創エネ設備が無かったとしても、省エネを行っていれば、建物機能の維持に必要な最低限のエネルギーを抑えることができ、非常時のエネルギー自立性につながります。

③ 快適性・生産性の向上
断熱・遮熱商材の導入や空調設備の導入により、エネルギー消費量を抑えながら、建物内の快適性を向上させることができます。

④ 企業価値・評価の向上
近年、国内外を問わずSDGsやESG投資など、企業が環境に配慮した行動をすることが求められています。
その中でZEB化を推進することは環境面の評価につながり、また、企業価値を高めます。

 


ZEBの事例

ここでは、ZEBの事例を新築・改修別に数例をご紹介します。

【新築の例】
事例:JS博多渡辺ビル(渡辺地所株式会社・株式会社サンライト)

ZEBの分類:ZEB Ready

概要:全体計画の中でのコスト調整や汎用技術の活用によりコストアップを抑え、テナントオフィスビルのZEB化を国内で初めて実現

都道府県(地域区分):福岡県(5)、新築/既築:新築、延床面積:6,173.7㎡
建物用途:事務所(一部店舗)、一次エネ削減率(創エネ除く/含む):52% / –

ZEB化を検討した経緯・きっかけ ・設計者からの提案でZEB化を検討
期待した効果 当初はZEB化を考えていなかったが、設計者から提案を受けたことで検討を開始した。

・企業としての評価向上とテナント誘致の際のPR効果を期待

エネルギー消費量の削減や低炭素化を目指す社会情勢を踏まえ、ZEBを実現することでCSRや企業の評価が高まることを期待した。また、光熱費の安さ、環境に配慮したビルであることがテナント誘致の際に有利に働くと期待した。

イニシャルコストとランニングコスト
(資金調達、投資回収年数等)
・イニシャルコストの資金調達

全体計画の中でのコスト調整と汎用技術の活用により、通常のビルとあまり変わらないコストでZEB化を実現した。

・投資回収年数

イニシャルコストが通常のビルと同程度のため、投資回収年数も通常のビルとほとんど変わらない。

建物利用者からの感想 ・光熱費の削減

光熱費が大幅に削減できており、入居テナントも満足していると思われる。

・快適な作業環境

最新の省エネルギー技術によりエネルギー消費量を削減しつつ快適な執務環境を実現できている。

※環境省「ZEB PORTAL」より抜粋

 

【改修の事例】
事例:久留米市環境部庁舎(福岡県久留米市)

ZEBの分類:ZEB

概要:外皮性能の向上や空調設備等の改修によって一次エネルギー削減率106%を達成し(創エネ含む)、日本における既設の公共建築物としては、初めての『ZEB』に認証

都道府県(地域区分):福岡県、新築/既築:既築、延床面積:2,089㎡
建物用途:事務所等、一次エネ削減率(創エネ除く/含む):67% / 106%

部間連携による
施設全体を考えたZEB改修
福岡県久留米市の「環境部庁舎」は、外皮性能の向上や空調設備等の改修によって一次エネルギー削減率106%を達成し(創エネ含む)、日本における既設の公共建築物としては、初めての『ZEB』に認証されました。

建物の外皮断熱強化は、建物の構造を調査したうえで、効率的に室内温度低下を防止するようウレタン系断熱材やLow-Eペアガラスを導入し、空調設備のダウンサイジングによってイニシャルコストの低減、エネルギー消費量の削減を実現しています。
さらに広い屋根面積を活用して、容量の大きい太陽光発電システムを導入することにより創エネを含んだ一次エネルギー削減率を大幅に改善しています。

ZEB化の実施にあたっては、事前のZEB化可能性調査や担当部局のみならず複数部局の連携による効率化など、他の自治体にとっても大変参考になるスキームで導入を検討されている点が特徴的です。

改修ZEB化の成功要因 久留米市の取り組みでは、環境政策部局/施設管理部局である環境部と営繕部局である都市建設部が積極的に連携したことが、『ZEB』を実現できた成功要因の一つになります。

特に、改修の計画段階から関連部局間で連携することで、単体設備の改修のみではなく総合的なエネルギー消費量の削減を検討できたことが『ZEB』の実現につながったと思います。

また、改修によるZEB化について職員が強い思いをもって取り組みました。自治体としての省エネを新規建築物ではなく改修建築物に頼らざるを得ないという状況で、「改修によるZEB化はコストパフォーマンスが悪い」という先入観を取り払った上で詳細な検討を行うことが成功につながりました。

環境部庁舎のZEB化では、下水熱利用等の追加的な設備を導入しておらず、通常の高効率設備の組み合わせで既存建築物のZEB化を達成した点も注目すべき点であり、他の既存公共建築物の参考になることを期待しています。

※環境省「ZEB PORTAL」より抜粋

 


ZEB化するためのステップ

実際に「ZEB」化するには、どのようなことをしたらいいのでしょうか。
「ZEB」化するには、新しく「ZEB」の要件を満たしたビルを建てるか、既存のビルを「ZEB」にするかの二つのパターンがあります。そのため、以下では、それぞれの手順や注意点をご紹介します。

【新築のパターン】

ステップ1. 建築用途や予算などを整理する

「ZEB」は、全国一律に同じ作り方でできるものではないようです。建物の用途や立地などによって導入する省エネ機器や再生可能エネルギー設備も変わります。
「24時間、建築内の部屋を使用することを想定しているのか?」「給湯など熱を大量に使用するのか?」といった建築用途のほか、予算などもあらかじめ整理しておきたい内容です。
なお、事前に何を整理しておけばいいのか見当し難い場合は、類似の事例を確認するといいでしょう。
すでに「ZEB」を実現している事例には、オフィスビルや食品加工工場、学校など、様々なものがあります。
似たような用途のビルで「ZEB」を実現しているケースがあれば参考になることでしょう。
「ZEB」の事例については、一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下、SII)がホームページで、「ZEBリーディング・オーナー一覧」を公開していますので参考にするといいですね。

ステップ2. 専門家に相談しながら基本設計を行う

「ZEB」化のイメージが固まったら、基本設計に入ります。
基本設計は、専門的な知識を持った企業などに相談するのが一般的です。
ただ、基本設計を依頼される設計会社にそういった窓口の担当部署等が無い際は、SIIの登録情報から「ZEBプランナー」を探してみましょう。
「ZEBプランナー」は、ZEBや省エネ建築物のプランニング実績を持ち、一般に向けたZEB相談窓口を設け、提案やプランニングを行ってくれる存在です。
「ZEBプランナー」は、SIIホームページの「ZEBプランナー一覧」から探すことができます。
2022年6月24日現在、全国で設計会社やコンサルティング会社など411件が登録されています。

ステップ3.ZEBの認証手続きを行う

「ZEB」を証明するには、国土交通省が「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン」に基づき開始した認証制度BELS(建築物省エネルギー性能表示制度、ベルス)に基づいて、第三者評価機関の評価を受ける必要があります。
BELSは、国が定める計算方法でBEI(省エネルギー性能指標)値を計算し、その値によって5段階で☆の数が決まるものです。
数値が小さい(=省エネルギー性能が高い)ほど☆の数が増え、最高ランクの☆5はBEI値0.8以下のものに付与されます。
この☆5つの中でも、「ZEB」はBEI値0.5以下と、さらに省エネルギー性能に優れた建物にのみ与えられるものになります。

【改築のパターン】

改築のパターンでも、基本的には、新築のステップ1~3と同じ手順になります。
但し、改築の場合では、既存建物の性能などによって「ZEB」化が難しい場合があり、基本設計とともに「ZEB」化が可能かどうかを検討することが必要です。
また、「ZEB」化を検討する際に参考になるので、既存の図面は事前に準備をしておくといいでしょう。

 


ZEB化に使える補助金

最後にZEBに使える補助金をご紹介します。
但し、ZEBの補助金を利用できる事業支援は、「新築・既存住宅」によって事業支援は異なります。
それぞれの対象経費や特徴を解説します。

<新築の場合>
「レジリエンス強化型の新築建築物ZEB化実証事業」:補助対象経費の2/3
「新築建築物のZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業」:補助対象経費の3/5
再生可能エネルギー設備・蓄電池などの導入など、停電時にもエネルギー供給ができることが条件になります。

<既存住宅の場合>
「レジリエンス強化型の既存建築物ZEB化実証事業」:補助対象経費の2/3
「既存建築物のZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業」:補助対象経費の2/3
既存住宅に再生可能エネルギーの設備・公共性の高い業務用の設備の導入など、停電時に対応できることが条件になります。

また、経済産業省、環境省別で補助金対象や設備、限度額などは以下のとおりです。

<経済産業省>

補助金対象 対象設備 限度額
●新築・民間企業等(面積10,000㎡以上の建築物)
●既存住宅(面積2,000㎡以上または10,000㎡以上)
ZEB実現に寄与する設備
(空調、換気、給湯、BEMS装置等)
補助対象経費の2/3以内

※「引用元:令和4年住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費補助金」

<環境省>

補助金対象 対象設備 限度額
新築 2,000㎡以上または10,000㎡以上 補助対象経費の3/5・2/3
既存住宅 2,000㎡未満 補助対象経費の2/3

※「引用元:環境省 補助金制度一覧」

公募期間 : 2022年5月16日(月)~2022年6月13日(月)

環境省と経産省の補助金が使えます。
但し、公募期間の受付は終了しているので次回の補助金に備えましょう。

ぜひ、皆様も「ZEB」の今後の検討とあわせて、自家消費型太陽光発電の導入などもご検討ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。