COP27の結果を解説!
「COP」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。
COPは国際的な気候変動の議論の場として行われる会議となっています。
今回は27回目の会議である「COP27」が開催されましたので、ご紹介させていただきます。
COPとは
COP(Conference of the Parties)とは「国連気候変動枠組条約の締約国会議」のことです。
世界から約200の国と地域の代表が集まり、2週間かけて気候変動への国際的な取り組みについて議論が繰り広げられます。
今回エジプトで開催されたCOP27は第27回目の国際会議となります。
過去のCOPにおける主な動きは以下のようになっています。
1994年 | 気候変動枠組み条約の発効 |
1995年 | ベルリン・マンデート採択(COP1) |
1997年 | 京都議定書採択(COP3) |
1998年 | ブエノスアイレス行動計画採択(COP4) |
2015年 | パリ協定採択(COP21) |
2016年 | パリ協定のルール作りの工程表を採択(COP22) |
2017年 | パリ協定に向けたルール作りの交渉加速化に合意(COP23) |
2018年 | パリ協定のルール作りの完成(COP24) |
2019年 | 温室効果ガス削減目標の引き上げ、パリ協定の実施に向けたルール作り(COP25) |
2021年 | グラスゴー気候合意採択(COP26) |
2022年 | グラスゴー気候合意で示した目標を盛り込んだ「ノンペーパー」を公表(COP27) |
前回のCOP26で決まった内容は大きく3つです。
①2025年までに2019年比で先進国からの適応資金を少なくとも倍増させる
日本を含め、すでに適応資金の倍増を表明した先進国もあるほか、多くの先進国が途上国への具体的な適応支援を表明しています。
②適応に関する世界全体の目標(GGA)ついての具体的な議論を開始
2022年〜2023年の2か年計画として、「GGAに関するグラスゴー・シャルムエルシェイク作業計画」を設置することが決定しました。
③損失と損害のための資金調達の可能性について議論を継続
資金ファシリティ設立の議論を継続するために「損失と損害に関するグラスゴー対話」を立ち上げ、2024年までに結論が出されることが決まりました。
参考:IGES https://www.iges.or.jp/sites/default/files/inline-files/20221004_shiiba.pdf
COP27の結果
COP27での交渉結果から5つご紹介します。
①シャルム・エル・シェイク実施計画
シャルム・エル・シェイク実施計画ではCOP26で決定された「グラスゴー気候合意」の内容を踏まえながら、緩和・適応・損失と損害(ロス&ダメージ)・気候資金の領域で締約国の気候変動への対策を強化することを求めました。
全世界で気温の上昇幅を1.5℃に抑えることの決意や2030年までに温室効果ガスの排出のさらなる削減の検討が行われました。
②緩和作業計画
緩和作業計画では2030年までの緩和の実施を早急に進めることが記載されています。
産業革命前と比較して気温の上昇を1.5℃に抑えるなどの重要事項を、少なくとも年2回のワークショップを開催し報告することが盛り込まれました。
③パリ協定の詳細ルールの決定
COP26での行動指針に基づき排出削減や吸収量の記録システムの使用や手続き、運用細則や京都議定書下の市場メカニズムの活動やクレジットのパリ協定への移管の詳細なルールを決定しました。
④損失と損害(ロス&ダメージ)に対する基金の設立
先進国の温室効果ガスの排出による自然災害の被害を受けた途上国に対する支援として新たな基金が設立されました。
COP21でのパリ協定以降、途上国と先進国との間で資金を巡り対立構造が生まれていましたが、今回基金を立ち上げたことによって長年の議論に終止符を打ちました。
日本が3回度目の化石賞を受賞
日本はCOP25以来3度目の化石賞を受賞しました。
化石賞とは気候変動への取り組みが後退している国に送られる不名誉な賞です。
環境NGO「Climate Action Network(CAN)」が気候変動への取り組みを判断し選定します。
日本が選ばれたのは化石燃料に公的資金を拠出する世界最大の国であるからです。
2019年から2022年の間で化石燃料に対して約4兆7,700憶円の公的資金を拠出し、その額は世界最大となったため選定されることとなりました。
COP27と前回のCOP26の化石賞の受賞国は以下のようになっています。
受賞国 | |
COP26 | 日本、イギリス、オーストラリア、ノルウェー、スコットランド、インド、アメリカ、フランス、ポーランド、ブラジル、サウジアラビア、メキシコ、チェコ、セルビア |
COP27 | 日本、アメリカ、ロシア、エジプト、UAE、ニュージーランド、トルコ |
次回のCOP28ではこの不名誉な賞の受賞を回避するために日本の脱炭素に向けた政策はさらに加速することが考えられます。
ご不明点等ございましたら是非一度ご連絡ください。