託送料金の算出方法が変更!レベニューキャップ制度を解説 / 太陽光発電のライフソーラー

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託送料金の算出方法が変更!レベニューキャップ制度を解説

2023.3.15

今回は令和5年度より託送料金の算出の際に新たに導入される制度、「レベニューキャップ制度」について解説させていただきます。
そもそも託送料金とは何なのか、新たな制度が導入されることによって我々消費者にどのような影響を与えるのか、わかりやすくお伝えいたします。

 


託送料金とは

レベニューキャップ制度の解説をする前に、そもそも託送料金とはどういったものなのか解説いたします。

託送料金とは小売電気事業者が発電事業者から購入した電気を需要家に届ける際に利用する送配電網の利用料金のことです。

発電された電気が企業や家庭などの需要家に届くまでには3つの事業者が必要になります。

まず電気をつくるのが「発電事業者」です。そして電気を需要家に販売するのが「小売電気事業者」です。そして送配電網を所有しているのが「送配電事業者」です。
元々は発電から需要家に電気を届けるまでの全ての過程を一つの事業者が行っていましたが、電力自由化によって小売電気事業者の新規参入を促すために、それぞれの役割事に3つの事業者に分かれました。

小売電気事業者は発電料を支払うことによって発電事業者から電気を購入します。購入した電気は電気料金を受けとることによって需要家の元に届けられます。しかし小売電気事業者は需要家の元に届けるための送配電網を所有していません。
そこで小売電気事業者は電気を届けるために必要な送配電網を持つ送配電事業者に「託送料金」を支払うことで送配電網を使用することができます。

託送料金は需要家が支払う電気料金の一部として含まれています。
つまり託送料金の値上げは電気料金の値上げに直結しているのです。

 


これまでの託送料金の仕組み

これまでは託送料金を算出する際に「総括原価方式」と呼ばれる制度を使っていました。

この制度では電気を継続的に需要家に送るために必要なコストに一定の割合の利益を乗せたものを電気料金として設定するような仕組みとなっていました。

この制度は電気や水道、ガス等のインフラ関連で用いられています。
この制度のメリットは企業の経営を安定しやすいことです。
費用がいくら掛かったとしても、そのコストに一定の利益を乗せた価格で販売することができるので倒産のリスクが低くなります。
また収益の見通しが立てやすいことから設備投資等の計画が立てやすくなります。

一方でデメリットとしてコストカットの必要性が低いことが挙げられます。
どれだけコストが大きくなろうとも、あるいは低くなろうとも利益は一定であるため、会社としてコストを抑えることの恩恵を受けにくくありました。
しかしコストの増加は需要家の負担が増えることになります。

電気等のインフラは消費者の生活を担保する上で必要であったため、経営が安定する総括原価方式がとられていました。

 


新制度導入の背景

近年燃料価格や再エネ賦課金の上昇によって電気料金が急激に高騰しています。
電気料金を構成する要素の一つである託送料金に関しても値上げ傾向にあります。
その理由は送配電事業者の設備投資コストの増化にあります。

具体的には
・再生可能エネルギーの普及に備えた送配電網の強化
・自然災害等からの復旧力の強化
・デジタル化に対応するための電力インフラの強化
・高度経済成長期に設置し老朽化した設備の更新
などが挙げられます。

これらへの投資は必要不可欠です。
送配電事業者の投資費用の確保と消費者の電気料金の負担の軽減の両方を行うためにレベニューキャップ制度が導入されました。

 


レベニューキャップ制度とは

レベニューキャップ制度(revenue cap)とは「収入上限」を意味します。
国が送配電事業者に対して収入の上限を定め、設定した上限の範囲内で託送料金を決める制度となっています。
これまでは託送料金を設定することで収入を算出していましたが、新制度によって収入を設定してから託送料金を算出することになります。

送配電事業者が託送料金を設定するまでの流れは以下のようになっています。
①一般送配電事業者は国が定めた達成すべき目標事項に基づき事業計画を策定
②一般送配電事業者は実施にあたり必要な費用を見積り、レベニューキャップ(収入上限)を算定し国に提出
③国が見積費用を審査し収入上限を承認
④一般送配電事業者は収入上限の範囲内で託送料金を設定

 


レベニューキャップ制度のメリット

レベニューキャップ制度が導入されることによって大きく3つのメリットがあります。

①コストカットの促進

引用:レベニューキャップ制度の下での 一般送配電事業者の前提計画について

レベニューキャップ制度を導入することによって送配電事業者のコストカットを促すことができます。
これまでの総括原価方式ではコストカットを行っても利益は一定であったためコストカットを行うメリットは大きくありませんでした。

レベニューキャップ制度では収入上限よりも全体のコストが下回った場合、差額は全て利益として送配電事業者が受け取ることができます。
そのため送配電事業者の積極的なコストカットを促すことが期待されます。

②消費者の負担の軽減

引用:レベニューキャップ制度の下での 一般送配電事業者の前提計画について

翌期の収入上限にはコストカットの成果が反映されます。
毎期コストカットの成果が反映されるため、繰り返していくことによって託送料金の減少を図り、消費者の負担を軽減することが期待できます。

③投資費用の確保

地震や台風などの自然災害が発生した際、送配電網が壊れてしまい多額の修繕費が必要になる可能性があります。
しかしこの制度であればそういった突発的な出来事であれば翌期の収入上限を変更することも可能です。

予期せぬ資金不足を回避し、設備投資に必要となる費用を確保することができるため、経営を安定化し継続的に電気を供給することができます。

 


電気料金は今後も上昇することが予想されます。
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